[ベター・コール・ソウル Season1]ブレイキング・バッドの前日・後日譚

大ヒットドラマ ブレイキング・バッド終了から2年。ロスに嘆くファンがガッツポーズをせざるを得なかったのか、このスピンオフドラマ、ベター・コール・ソウル開始でした。

もう…、どの登場人物もひたすらかっこいい!
展開が渋い映像が美しい!
アメリカ ニューメキシコの雲ひとつない青空、限りない荒野、顔にしわの刻まれた男たち。
五感を揺さぶってくる演出。

主人公は、本編では脇だった悪徳弁護士ソウル・グッドマン。
活躍はしてたけど、フィーチャーするような愛されキャラだったかな?そんな印象です。
しかし、ベター・コール・ソウルを観れば彼が大好きになるのは避けられません。

落ちこぼれの弁護士ジミー(後のソウル)という過去。同じく弁護士で超優秀な兄との確執。機転を効かせズルい手を使い、口の巧さでエリート弁護士相手に裁判で勝ちにいく痛快さ。時にはとんでもない危ない橋を渡るスリル。
観ている方も、えもいわれぬ嫌な汗をかいてしまう感じは、ブレイキング・バッド本編と同様に健在です。

ただ、ブレイキング・バッドほどのゴア表現はなく、ある意味お茶の間でも安心して見られます。メインがドラッグやギャングではなく、弁護士と詐欺。頭脳を使った争いにハラハラさせられます。(※最終シーズンは暴力シーンも出てきます)

そんなベター・コール・ソウル(BSC)の感想を書きたいと思います。

目次

視聴方法

作品情報

原題:ベター・コール・ソウル/Better Call Saul シーズン1(2015)
製作:Netflix
公開:2015年9月(日本)/ 各話約45分
監督:Vince Gilligan

各話の感想(ネタバレあり)

1-1 駆け出し
売れない弁護士ジミー登場。
冒頭の悪質で擁護しようのない公選弁護人案件といい、笑っちゃいけない場面の気まずさを面白おかしく見せるのがうまいですね、ほんと!観ていて終始笑ってしまう第1話でした。
横領疑惑のケトルマン夫妻も、犯罪をしたのに無罪を主張するなんて、本来なら怖い人に見えてもおかしくないですよね。でも、ベッツィの図太い態度と、ハの字眉で忖度しまくりのクレイグとの間合いが面白い。笑える演出になっていて楽しく見られました。

1-2 トゥコ
早速こんなにいいんですか?ってくらいのトゥコずくしな第2話。
ブレイキング・バッドファン的には、1話目のラストでトゥコが出てきた時、「うわー…(青ざめ)」となったはず。
ただ、そうは言ってもベター・コール・ソウル。わかりやすく笑える演出になっていて、怖さはマイルド。というか、ジミーが弁護士というピンチを解決する職業だという安心感もある。期待通り切り抜けてくれてほっとしました。

トゥコってほんと危ない奴すぎて怖い…。家族大切にしまくりだし、サルサソースとかもう面白すぎて、途中から「いいよもうやめて」って画面に向かって言ってしまった。

1-3 ナチョ
ジミーの一見賢いその場凌ぎの抜け道戦略が、芋づる式に身の危険を呼び込み始めて、怖いにも程がある第3話!
まさかちょっとした発言から、トゥコの右腕、冷静な男ナチョが食いついてきて恐喝してくるなんて、ホラーでしかない。
自転車操業的な、火消しに明け暮れるジミー。こういう時、観ているこっちが激しい後悔に苛まれる。どうしてあんなことしてしまったんだろう……。
それにしても、ピンチを話術で切り抜けるジミーはかっこいい!応援したくなる

1-4 ヒーロー
ジミーを翻弄する横領疑惑のケトルマン夫妻がめちゃくちゃ面白かった!特に奥さん最高笑
私たちは無実よ。クレイグが稼いだの」なんて真顔で言ったり、とにかくぶっ飛んでますよね。

手にしたお金を自己投資に使うジミーの姿は見習うべきだと思った。
投資先は、ハワード風の高級スーツと看板。真っ当じゃないただの嫌がらせじゃないか!と始めは思わせられるけど、実は有名になることが目的だった。的を得ていて天才じゃないか…こういうアイディアが豊富だから、ジミーの企みから目が離せない。

1-5 羊飼いの少年
一躍有名になったジミーに増えたのは、突拍子もなく勝ち目の無い依頼ばかりでした。
結局ダメかーと一旦視聴者を落胆させておいて、盛り返すからベター・コール・ソウルは面白い。
高齢者に優しく、高齢者施設に市場を見つけ、勝ち筋すら見出すジミーが痛快です。下心があるからとはいえ、距離を縮める時にマメなジミーが素敵です。

1-6 警官
裁判所の駐車場係マイクにスポットが当たる回。
マイクは元警官レベルでは済まないスペックのチートキャラと言えます。息子を殺した相手への周到な準備と罠。復讐を遂げる際の銃を構える微動だにしない姿に痺れました。かっこいいだけで言い表せない…。
マイクから全てを聞いても動じなかった義理娘も、相当肝が据わっていてかっこよかったです。決していいことをしたわけじゃないけど、芯のある態度だと感じました。
しかし逆に言うと、ここで受け入れない義理娘の方が、マイクはこの先道を軌道修正できたのかもしれません。

1-7 ビンゴ
キムとの微妙な関係は続く…。ある意味恋と仕事に挟まれるジミー切ない。
いつもは抜け道ばかり使うジミーが、その能力を正しい事に使ったらどうか。つまり、違法な調査で得た証拠を、キムにケトルマン夫妻を引き渡し罪を償わせるという正しい結果のために使ったら。
それは兄チャックもキムも周囲の誰もが望んでいたこと。実際実現した時には、確かにキムは喜びました。
しかし、違法な調査をしたという負債と、キムの成功(=ジミーと開業はできない)による希望の喪失を、ジミーだけが負うことになりました。

1-8 RICO法
最強に思える兄弟タッグに思わず「こういうのが見たかったんだよ」と握り拳を画面の前で掲げましたね。
ゴミ捨て場といい、お金を使わず体を使って仕事を作っていくジミーの姿は本気で見習いたい。尊敬しかありません。

今回のエピソードでは、ジミーの希望である兄チャックへの思いと、同時に過去の挫折も描かれます。この挫折が、ジミーにずっと色濃い影を落とし続けていることが悲しくて仕方ありません。

1-9 ピメント
誰か…マイクを引退させてあげて

金銭面の心配で「副業」を始めるマイク。
義理娘ステイシーに悪気があるわけじゃありません。でも、彼女が心底困った顔でお金が足りない話をするたびに、マイクが「あーまたこれ仕事増やさないといけないやつだ」ていう顔をするシチュエーション。今後も幾度か起こります。そのたびに「引退させてあげて…誰か…」と私は遠くを見つめてしまいました笑。

それにしても、面倒くさそうな顔で完璧な仕事をするマイクはかっこよすぎます。

1-10 マルコ
シカゴ・サンルーフはキツい!笑

ジミーはもう立派な弁護士なのに、どうしてこんなにもチャックからの評価に執着するんだろう?
家族だからこその複雑な感情が、観ていて苦しいです。
ある種燃え尽きてしまい、シセロで休暇を取るジミー。悪友マルコとの再会と”スリッピング・ジミー”の再来に、実際のところヒヤヒヤさせられます。ですが、必要な休暇だったと胸に仕舞い歩き出すジミーが素敵でした。

[ベター・コール・ソウル Season1]のまとめ

渋い演出、無駄のない伏線と回収、ドキッとするカメラアングル、完璧な照明。
ドラマと思えない完成度に、終始「すっごいカメラアングル!」「綺麗な風景!」「渋いモチーフ!」とひたすら感動しっぱなし。
弁護士ジミーの愛され力が凄い。努力家で人たらし。家族想い。けど魔が刺すから危なっかしくて目が離せない。

実はシーズン5まで鑑賞済みでしたが、6が出たのをきっかけに1から見返し、より一層演出への理解を深めたり、登場人物の言動に思いを馳せたりして楽しめました。

これだけの完成度を持つドラマを、1回みて終わりにするのは勿体なさすぎます。何度も堪能することで、無駄のない伏線や意図的に映されたものを理解し味わいたい、素晴らしい作品です。

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