全ての「かつて少女だった人たち」に見てほしい…!
消えてしまいたくなったことはありますか?
狂っているのは自分?それとも世の中?
不安定で曖昧な思春期を生き延びた私たちなら、この「17歳のカルテ」の主人公スザンナたちの葛藤を心から理解できるでしょう。そして自分の生きてきた人生を励まされるはずです。
「17歳のカルテ」はキャストも凄いんです。
シザー・ハンズで一世を風靡したあのウィノナ・ライダーが主演と制作総指揮をつとめ、今となっては大スターのアンジェリーナ・ジョリーが25歳で助演女優賞を受賞し注目を集めた出世作。
脇を固めるのはウーピー・ゴールドバーグ、クレア・デュヴァル、ブリタニー・マーフィー、エリザベス・モス、ジャレッド・レト…
書いているだけで息切れしてくる凄いメンツですね。
作品情報
題名:17歳のカルテ(原題:Girl, Interrupted)
公開:2000年9月2日(日本)
監督:James Mangold
出演:
Winona Ryder(スザンナ)
Angelina Jolie(リサ)
Clea DuVall(ジョージーナ)
Brittany Murphy(デイジー)
Elisabeth Moss(ポリー)
視聴方法
Amazon Prime Videoでレンタルと購入が可能です。
見放題作品ではないため、Amazon Prime加入していなくても視聴できます。
Amazon.co.jp: 17歳のカルテ (字幕版)を観る | Prime Video
イラスト:

感想(ネタバレなし):
なんとなく死にたかったスザンナに共感

主人公である17歳のスザンナはある日ふいに死にたくなり、自殺を図ります。
びっくりするような展開に思えますが、そんなスザンナから目が離せないのは、普通ってなに?という私たちのもつ疑問を体現しているからと言えます。
自分は変じゃない。そこまで大きな問題は抱えていない。でも周囲の期待に応えられないし、生きるのが辛くなることがある。
教師との不倫という彼女の問題行動そのものよりも、スザンナを憐れんで泣く母親との関係こそがスザンナを苦しめてきた。一見普通なのに、親という重要な関係において苦しんでいる。
その末に自殺未遂に至りました。
スザンナの反発と成長
一命はとりとめるものの、両親の手配により急遽精神科病棟へ入院することになるスザンナ。病棟で、同年代の少女たちと出会います。
スザンナは「自分は狂ってないのにここにいるのはおかしい」と反発。しかし入院中の少女たちとの出会いこそがスザンナを成長せます。
「病人」「狂人」と単純にくくられる存在なわけではない。それでも問題は確かにあると認め、苦しさを克服するために人生を変えようとする姿はリアリティがあり、私たちを勇気づけてくれます。
どこか「逸脱している」少女たち
病棟にいたのは、社会の型にうまくハマることが出来ず、それぞれに問題を抱えた少女たち。
社会にハマれない少女たちと言っても、多くは非行に走り社会を攻撃しているわけではありません。病という形で自分に刃を向けてしまい、周囲に傷付けられ周囲を傷付け、思春期病棟の住人として暮らしているのです。
一見、気立てが良い子も多く、観客もスザンナと同様にすぐに彼女らのことが好きになります。それぞれが女の子ならではの問題を背負っていて、どの子にも共感出来るポイントがあります。
しかし、ときにその行動にびっくりさせられます。
下剤の追加処方が認められないと分かると、急に怒鳴り出して口汚く看護師を罵るデイジー。
親がCIAだと嘘をまくしたてるジョージーナ。
とても優しく穏やかなポリーは自らの焼身で負った顔の火傷の跡に苦しみます。
そのなかでひときわ魅力を放つのが、反社会的な気質をもつリサでした。
感想(ネタバレあり)
「17歳のカルテ」は、少女たちと出会ったスザンナが、自らを見直すことで成長していく物語です。なかでも特別スザンナと仲良くなり、衝突し、影響をあたえるのが、アンジェリーナ・ジョリー演じるリーダー格のリサです。
リサは簡単にいえば、可愛くて面白くて強くて意地悪な女の子。
子供の頃、周囲にこういう子、居たなーと思い当たる人もいるかも知れません。
女性であれば、かつて少女だった頃に持っていた、と感じるかもしれない、しかし歳を重ねるにつれどういうわけか失っていった「残酷さ」を持ち続けたままで”いられる”存在がリサです。どうしてそうでいられるの?という珍しさと、ある種羨ましい輝きを放っていました。
なおかつ物語の結末を知る頃には、少女の残酷さを持ち続けることの危うさを理解するための事例のような存在でもありました。
ひときわ目を引くリサ

リサの登場は強烈です。
職員に連行されるような形で車から降りてきて、不遜な態度で周囲に軽口をたたきます。どうやら脱走していたところを保護された様子で、帰るなり我が物顔で周囲を仕切るリサ。目は鋭く、人を傷つけることも恐れない自由さがあります。そして部屋から顔を覗かせるスザンナを見つけるなり、乱暴な態度で「誰だ?何でいるんだよ!ジェイミーは?」激しく怒鳴りつけます。
鑑賞時ほぼ同年代であった私は強烈な憧れを抱いたものでした。強い目をしたリサ。嫌味を言う大人に物怖じせず、強烈な批判で返り討ちにする。普通の女の子なら言いにくい事を言える。美人で自分の魅力もよくわかっていて、男性を操ることに恥じらう様子もなし。
リサの攻撃性は、遅刻や列に並ばないといったルール破りに留まりません。人として一線を越えるような、倫理的なルールを破るのです。
多くの少女たちは成長するにつれ痛みを知り、倫理観を身に付け、優しさを獲得していくでしょう。彼女たちが呆気にとられているのを尻目に、完全無欠のままで振る舞えてしまうのがリサなのです。
もしこれが2時間の映画じゃなくて、今風に毎週更新される10話のドラマだったら?最終話が解禁されるまでの間、若き日の私は、リサに憧れるあまり傍若無人に振舞ってみたりしたかも知れません。とても危険な魅力に満ちていました。
リサになれなかった私たち
しかし、この映画のクライマックスはすぐに訪れます。
「ルール無用で振る舞う私こそが自由だ」と主張するリサに魅せられていた観客もスザンナも、魔法が解けたようにリサの考えから離れていきます。
終盤において、成長し病気を治す事に専念することを決心し、リサを冷静に分析するスザンナ。
それを察知して「私こそが自由だ」と涙ながらに叫ぶ凶暴化したリサ。
窮地に追い込まれたスザンナは、「ルール無用の振る舞いをしているリサこそ、現実世界で受け入れられず、精神科病棟でしか生きられないのだ。だれもリサを殺そうとしないのは、すでに死んでいるからだ」とそう告げる事で、リサを追い詰め、リサの暴走は幕を閉じます。
アンジェリーナ・ジョリーのアカデミー賞受賞が示すとおり、リサは多くの観客を魅了しました。かといってリサのように振る舞うひとはいませんし、私もリサのようになる事はありませんでした。
物理的なことに限って言えば、「倫理的なルールを守らずに、他人を傷つける」という事は、誰もが容易く出来てしまう事です。リサのように特別な輝きを放てるかもしれません。
なのに、多くの人がやらないのはなぜでしょう?
大人になりきれなかった頃の悩みに刺さった
大人になりきれない若者の頃、子供時代の自由さを失った気がして、自分がつまらない人間になってしまった気がして、特別な自分では無くなってしまった気がして、悩んだ事がありました。
ですが、それはそれで必要な成長だったのだと思いを馳せるきっかけをくれたのがこの映画でした。
自由を制限されないため、自分の意志で社会生活に参加していくために、わたしたちは大人になったのだから、引け目を感じる必要など無かったのです。
アンジェリーナ・ジョリーという女優
ウィノナ・ライダーが好きでたどり着いたこの映画でしたが、アンジェリーナ・ジョリーを知るきっかけとなりました。こんなに魅力的な女優さんがいたなんて…と一瞬で虜になりました。以来、大大大好きな女優さんです。
2022年時点で47歳のアンジーは、この「17歳のカルテ」を演じた当時25歳だったようです。
瞬く間にスター街道まっしぐらとなったのも納得の、迫力ある演技でした。
ジア(1998)、トゥームレイダー(2001)、Mr. & Mrs. スミス(2005)、ベオウルフ(2007)、マレフィセント(2014)、エターナルズ(2021)・・・
代表作・話題作・ヒット作を挙げようとすれば、すべての経歴を書き出す事になりそうなほど、出演作は有名な作品ばかりです。
Angelina Jolie – IMDb
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