こんばんわ、かさき(@KasakiLog)です。
宇宙、ブラックホール、相対性理論、宇宙船、未知の惑星。
決して理解はできないのに、惹かれずにはいられないんですよね…。しかも興味を持っても勉強すると難しいです。SF映画を見た後は感化されて、相対性理論の書籍を何度か私も読みました。しかし「なるほど!いや、全くわからない…」と毎回思います。
そんな宇宙に関するテーマを、面白く興味深く、壮大な映像で表現していて「宇宙ってすごい!」と思わせてくれるのが映画「インターステラー」です。本当にありがとうございます。
この記事では、そんな面白いけど難解なSF映画「インターステラー」に出てくる、おもしろポイントの備忘と感想を書きました。
- 信じがたい星や宇宙の現象
- 映像背作がどうやって行われたかのメイキング
「ああ〜こんなの出てきたな〜」「もう一回観てみようかな」と思って頂けたら嬉しいです。

視聴方法

作品情報
原題:Interstellar(2014)
制作:Legendary Pictures / Syncopy Films(instagram)
公開:2021年10月(日本)/ 2h35m
脚本:Jonathan Nolan/Christopher Nolan
監督:Christopher Nol an
出演:Matthew McConaughey(クーパー),Anne Hathaway(dr.ブランド),Jessica Chastain(マーフ),Mackenzie Foy(マーフ10歳)
音楽:Hans Zimmer
参考
Interstellar(@Interstellar) / Twitter
トレーラー
あらすじ
環境汚染による激しい気候変動で、砂嵐と疫病が蔓延する地球。作物は育たず、砂埃による呼吸器障害が人類を襲い人が住めない環境になりつつあった。
元NASAのパイロットかつエンジニアのクーパーは、父ドナルド、15歳の息子トムと10歳の娘マーフと4人でトウモロコシ農場を営んでいる。エンジニアよりも農家が必要とされ、NASAが閉鎖したのだった。
ある日マーフとクーパーが部屋の埃がバーコード状に整然と積もるのを見つけ「幽霊のしわざだ」と言いつつも、その並びがモールス信号だと気付く。解読したその信号が表す座標の場所へ行くクーパーとマーフ。そこでは、解散されたはずのNASAが研究を続けていた。植物の病気の研究とともに、人類の新しい居住星を探す研究が続けられていた。
先遣隊がすでに居住の可能性のある星々へ旅立っていると語るDr. ブランドはクーパーの恩師だった。そして、居住可能という信号を送って来た星へ、今まさに向かうパイロットをNASAは探していた。
感想(ネタバレあり)
魅力的な設定が盛り盛り
エンジニアが不要になり、農家だけが必要な世界。
宇宙に行くことが、多くの時間を失うことで、会えなくなるかも知れないとわかっている
極限状態のクルーたち。マン博士の決断
家族愛、時間の流れの違い。同じ時間を過ごせないことの悲しみ。
宇宙の怖さと、そこへ向かわざるを得ない人々の感情が入り混じっていました。
よくわからないけど聞いたことあるヤバい宇宙がいっぱい
ワームホール、ブラックホール、相対性理論、5次元。これらがしっかりと映像化されているのには胸が熱くなります。そのどれもが美しく、しっかりとした実在感をもった映像表現でした。
ワームホール
最初に登場する「ヤバい宇宙」がこのワームホールでした。球状の穴。レンズや水滴のように、宇宙の星々の風景が凝縮して映り込む。中に入ると、宇宙船が楽々入る幅の広さで、チューブ状の内壁?に映る歪んだ銀河が高速で過ぎ去っていきます。怖すぎます。
ブラックホール
黒い点でしょ?なんて思ったら大間違い。クーパーたちの目的地・ミラーの星の何十倍も大きく、その周囲は強すぎる重力の影響で光り輝いています。理論物理学者のキップ・ソーン教授が数式をVFXチームに教えて生み出されたシミュレーション映像だそうで、このことも大変話題になりましたね。なんでも吸い込んでしまうだけでなく、周囲に生じるエネルギーの大きさも視覚化されていて、衝撃のひと言でした。
相対性理論
「移動速度の差や重力の差のある2人がいる場合、互いの時間の進み方は違う」そうなのですが、一般人にはなかなか理解に苦しむ理論です。クーパー達の宇宙船による高速の旅、そして特に重力の強いミラーの星での出来事が、嫌というほどこの相対性理論を視覚化していました。
ブラックホール特異点の中の5次元空間
メイキング本「クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYONDTIME AND SPACE」によると、ブラックホールに落ちたクーパーが行き着く不思議な書棚の空間を、テッセラクトと言うそうです。
ブラックホール特異点と重力を解明した未来の人類が作った空間です。3次元の世界で生きる人類であるクーパーでも干渉出来るよう、時間の異なるマーフの部屋を3次元上に無数に並べてります。クーパーが移動すれば別の時間のマーフの部屋を見ることが可能です。
画像の端のピクセルが引き伸ばされたような、ファミコンのカセットが接触不良のまま電源を入れた時のような、「バグっている」状態に似た外観が、とても奇妙で潜在的に恐怖を感じるデザインでした。
見た目のインパクトもさることながら、クーパーが触ると振動することから、撮影用に実物で作られていることがわかります。不思議な空間だけど、たしかにそこに存在していて干渉することができる、というのが伝わってきました。
「居住の可能性あり」の星が怖すぎる
人類が移住できる可能性のある星を探しに行った先遣隊。そのなかで、ミラー、マン、エドマンズの3人の送る「可能性あり」の信号を頼りに、クーパー達は惑星へ向かいます。
居住の可能性のある星へ行くためには、燃料が足りません。その上、地球で飢餓と窒息に襲われながら人類が待っているため、時間との闘いです。3箇所の全てに行く前に、その優先順位を決めなければいけません。
しかも、資源と時間という多大な犠牲を払って向かうその星々は、「可能性あり」といえどどれも地球より過酷な環境。クーパーたちは究極の選択を迫られます。
- ミラーの星:送られたデータが少ないものの場所は1番近い。地表はなく、全て水で覆われている。ブラックホール・ガルガンチュアのすぐ近くの軌道上に位置し、着陸するのは命懸け。時間の流れも早く、ミラーの星で1時間過ごすと、その外では7年経過している。
- マンの星:行くには数ヶ月かかる。雲も凍る氷の惑星。大気はアンモニアなため、人間が呼吸をすることはできない。
- エドマンズの星:なにしろ遠い。
ミラーの星/水の惑星

最初に行くのこの星、めちゃくちゃ怖かった…
居住星を探すというこのミッションの難しさをこれでもかと突きつける星でしたね。一見、なんだか水が豊富だし生命もいるのでは?と思うのですが、とんでもない星でした。
水で地表がすべて覆われたミラーの星の中でも、クーパーたちが着陸したのは、膝くらいの水深の浅瀬でした。けどかれらは、そこが浅瀬ではないことに気づきませんでした。ものすごい重力のため波のうねりが大きく、単に波の低い場所が出来ていただけ。地平線だと思っていたものが、地球でははあり得ない高さの波だった…。それがわかる頃には、数百メートルを超える波が押し寄せ、シャトルに被害をもたらし乗組員の1人ドイルを失ってしまいます。
あの恐怖は忘れられません。宇宙を大冒険する「スターウォーズ」に出てくるような派手な現象じゃありません。私達の住む現実の延長線上である「インターステラー」の世界で、問答無用で存在する自然の驚異というかんじで恐ろしかったです。
しかも、ミラーの星の怖さはそれだけじゃなくて、時間に追われているんですよね。相対性理論の示すとおり、強すぎる重力のせいで時間の進みが遅いんです。宇宙船エンデュランスをミラーの星の外に止めたまま、星へ降りたクーパーたち。星のデータとミラー博士の回収のためにほんの数時間降り立っただけで、惑星の外で待っていた宇宙船では23年が過ぎてしまいます。
宇宙船で待機していたロミリーは、数年の予定だったつもりが23年も一人で研究を続けながら待っていました。
地球で待つクーパーの子供達のビデオレターも23年分貯まっていました。子供達の23年をクーパーは一瞬で失ったんです。
息子トムの思い出が、溜まったビデオを観るだけで過ぎ去っていく。「彼女ができたよ」「子供が生まれたよ」「子供とお祖父さんが亡くなった」「父さんを諦めろと妻に言われた」
どれも子供と親である自分にとって重大なイベントであり、2度とない大切な出来事なのに、返事をすることもできず、全て見逃した。クーパーたちにとって少しの時間が、子供にとって数十年。クーパーたちはなんの成果も挙げられない数時間で、子どもたちの重要な数十年間が過ぎ、しかも返事がないから見捨てたの?と怒りをぶつけてくる姿は観ていて相当に辛いものです。



23年には度肝を抜かれたね…



みんな生きていて!という想いと、地球へこちらの状況を知らせたい気持ちでぶん殴られるような感覚でした
マンの星/氷の惑星
南極よりもはるかに厳しい氷の惑星・マン博士の星。しかし、水の惑星・ミラーの星よりはマシなふうに見えました。地面を歩けますし、時間の進み方も地球と大差なさそうです。
ですが、そもそもの大問題がありましたね。マン博士が採取したデータを改ざんしていて、本来送るべきでない「可能性あり」の信号を送ったことでした。地下に生物がいるというデータは嘘で、見た目の通り、なんの生物も存在しない氷の惑星だったんです。結果的に、他の星へ行くという可能性を捨てて、それ相応の資源コストを払って、クーパー達は生物のいる見込みのない星へ行くこととなりました。
クーパーたちならマン博士の孤独と恐怖を理解したかもしれません。でも時間と資源の制約に追われて極限状態で決断をしてきたクーパー達ですから、怒ったかもしれません。



もしマン博士が素直に過ちを受け入れて、次なるミッションの手助けをしてくれていたら…。そう思わずにいられないです
ちなみに、アイスランドで撮影されたというマン博士の星。実物の地球を撮影したものだとわかっていても、地球じゃないみたいに異質な土地です。
映画コンタクトと通じるものがある
宇宙を題材にした物語でありながら、いかにも「未来」らしい衣装やガジェットなどは登場せず、私たちのいるこの現実と地続きの地球で始まる物語。そこが「インターステラー」と「コンタクト」の共通点です。
SF映画「コンタクト」の主人公エリーは、宇宙の法則に深く関わるうちに、人知を超えた現象に見舞われます。実験装置が海へ落下する数十メートルの途中で、一瞬で遠くの銀河に行き、亡くなった両親と話しゆっくりと過ごした後、海へ落下するまでの間に戻ってきます。科学者であるエリーの知識をもってしても、現実の科学で説明不可能な現象のため、体験をありのままを話すことしか出来ません。それを聞いたメディアなどの一般人も自らの知識の範疇でしか理解出来ず、結局オカルトとしてしか理解も分類もされませんでした。
「インターステラー」で、宇宙の法則の未知の領域の存在を表現しているのが「愛」です。観測不能で数値化も出来ない「愛」ですが、時空を超えて続くのが愛です。そして人類にとって観測不能なものはまだまだ他にもあるのだから、「愛」がそこに加わっても何ら不思議ではない、といった論調です。
メイキングに胸が熱くなる
インターステラーをもっと深く楽しみたいと思い、調べてみました。色々ありますね。
なるべくCGを使わずに撮影すると言われるクリストファー・ノーラン監督ですが、記事、動画、書籍を見るとその通りだとわかります。
ハリウッドでの映画業界関係者向け試写会のQ&Aセッションの記事


ブラックホールとその内部のVFXに関する記事


「ニューディール・スタジオ」が語るテッセラクト制作


子役が熱い。マッケンジー・フォイとティモシー・シャラメ
マッケンジー・フォイ
この子のために生還しなくてはならない。父クーパーだけでなく観客にもまさにそう思わせてくれるマーフ。真摯な瞳が印象的です。
私にとってマッケンジー・フォイが印象的だった映画は、トワイライト〜初恋〜シリーズでした。ネタバレは避けますが、彼女の天使のような愛らしい雰囲気がぴったりの、愛される役柄でした。お母さん役の女優さんとも不思議と似て見えましたね。
ティモシー・シャラメ
「かわいい子供」といった印象のトム。しかし無邪気さというよりも、何かを見据えるような視線が、将来のトムの責任感や苦労にも繋がるものがあります。映画「DUNE/デューン 砂の惑星(2021)」で主人公ポールを演じ、宿命を背負った公爵の息子して成長した姿を見せています。
[インターステラー]映画のイラストと感想|まとめ
「インターステラー」が見せてくれた、宇宙、ワームホール、ブラックホール、相対性理論、宇宙船、未知の惑星、5次元の世界。凄く難しいけど、宇宙に関する「知りたい欲」を刺激してくれました。そして「何度もしっかりと観て理解できるようになってみたい」という気持ちを受け止めるほどの懐の深さがある素晴らしいSF映画です。
面白かったけどまた観返したいなーと思って頂けたら嬉しいです。
最後までご覧下さいましてありがとうございます。

