The Cellは連続猟奇殺人を主題にした2000年の映画です。
エキゾチックな音楽と、ダークだけど美しい衣装の数々が登場し、ミュージック・ビデオのような力強い映像表現で描きます。
グロいシーンもありますが怖いだけでは終わりません。
コスチュームデザインはあの石岡瑛子さんです。
そんなThe Cellの
- 感想(ネタバレ)
- イラスト
- 関連書籍、音楽CD、動画のリンク
をまとめました。懐かしいこの映画を振り返っていきたいと思います。
ネタバレを多分に含みますから、まだ観てないという場合は、是非amazon prime videoに登録して観てみてください。オンデマンド配信なのですぐに観られますよ!
作品情報
公開:2001/03/24(日本)
監督:Tarsem Singh
作曲:Howard Shore
衣装:石岡瑛子
出演:Jennifer Lopez、Vincent D’Onofrio
視聴方法
あらすじ
若き心理学者キャサリンは、脳に障害を持つ患者の精神世界に入り込む最先端の治療法を試みていた。
一方、若い女性を残虐に殺す連続異常殺人犯を追っていたFBI捜査官ノヴァックは、昏睡状態の犯人スターガーの身柄を確保した。
新たに誘拐され、行方不明の被害者はどこかに監禁されているはずだ。だがその場所は犯人だけしか知らない。協力を要請されたキャサリンは、スターガーの潜在意識へ入って行く…。
CMや音楽ビデオで評価の高い演出家ターセムの劇場用映画第1作。インド出身らしい東洋思想に基づいた斬新な映像で精神世界が描かれる。
出典:amazon.co.jp
感想(ネタバレ)
ダークでグロテスクで美しく、SF設定もあり…
私的個人的ドストライクな作品です。その無二の美しさはいつ見ても見応えがあるなあと感動しました。
The Cellのターセム・シン監督といったら、芸術的な衣装と絵作りですよね。ミュージック・ビデオのディレクターというキャリアがあるそうです。ターセム・シン監督の作り出すビジュアルは、あらゆるカットごとに力強い構図と色合いで魅了してくれます。
感想:猟奇殺人と深層心理の両面を描くので目が離せない
主人公キャサリンが、精神世界にダイブして深層心理を探る本作。主たる舞台が連続殺人犯の精神世界であり、なかなかにインパクトの強い映像が繰り広げられます。
連続殺人犯カール・スターガーによる猟奇殺人、漂白された遺体、そして被害者の遺体を冒涜するシーン…スターガーの犯行の異常さがだいぶしっかりめに描かれます。
そしてスターガーは前半で逮捕され、ここからが本領発揮。殺人を描くだけで終わらないのがこのThe Cellの魅力です。
主人公は兵士ではなく心理学者ですので、焦点はあくまで犯人の深層心理状、疾患、過去のトラウマ。これらを映画として映像で表現していきます。
主人公キャサリンがスターガーの精神世界に潜り込むと、倒錯的かつグロテスクな恐ろしい部屋が広がります。かと思えば、幼くまだピュアだった少年のスターガーが父親から虐待を受けるさまを目の当たりにします。
ただ残虐なだけでなく、何故か目が離せないという不思議な感覚を抱き、引き込まれていきます。
感想:精神と容姿がリンクする精神世界が魅力的
私たち人は、見た目を変えることで気分を変えたり自信が湧いたりしますよね。
このThe Cellの精神世界では、深層心理にある自己のさまざまな一面が容姿に現れたかのような衣装とメイクとなって登場します。
スターガーの精神世界で、スターガー自身は「禍々しくも偉大な存在である」といわんばかりの自己像の表れの姿で登場します。中世の王族の肖像画のような絢爛豪華な衣装を身を纏い狂王じみた振る舞いをしたり、神のように玉座に座していたりします。幼い頃の彼にとって絶対的な存在だったという父親への恐れを自身に一体化させたかのようです。
対するキャサリンは、スターガーの各一面に応戦するべくキャラクターと容姿を使い分けているように見えます。
幼いスターガーと話す時はフェミニンな現代の姿や女神の姿で語りかけます。
スターガーの底深い闇に囚われてしまった時は、一時、窮屈なドレスを纏い鋼鉄のマスクを被って妖艶に微笑むだけの存在に成り果てました。
しかし我を取り戻してからは、残忍なスターガーが攻撃を仕掛けて来た際に、幼い頃のスターガーを守るべく女戦士の姿となってパワフルに戦います。
キャサリンとスターガーがシーンによってキャラクターをがらりと変えることで、まるでポップスターのミュージック・ビデオのように、The Cellの力強い映像美が生まれています。
それにしても、スターガー役のヴィンセント・ドノフリオ、
キャサリン役のジェニファー・ロペス。この2人による、あらゆるジャンルのどえらい衣装の数々の着こなしが本当に素晴らしいので一見の価値ありです。
音楽:ザラついた感覚を覚える
作曲家はハワード・ショア。
セブン、羊たちの沈黙といった猟奇的殺人を主題とした映画に携わっています。
と思えば、ロードオブザリング、ホビット、トワイライトのようなファンタジー映画も。
The Cellが精神世界の話でありながら壮大なスケール感があるのも納得です。
オープニングはエキゾチックな楽器の音色による導入。
劇中は、心情や状況を表すオーケストラで、壮大な世界観を表現します。
そしてエンドロール。民族音楽+テクノという個人的に衝撃の組み合わせ。
精神世界という脳内の不安定さ、スターガーの精神的な危うさを感じる、心がざわざわする、不協和音の音楽で観るものを追い詰めます。ずっと緊張感高く鑑賞できました。
導入とラストにモロッコのジャジューカというアーティストの音楽を取り入れることで、The Cellの作品世界を神秘的なものにしています。
ザ・セル オリジナル・サウンドトラック – サントラ, ハワード・ショアア, ハワード・ショア | |
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エンドロールの曲You Can Find The Feeling
個人的な思い入れで言うと、
映画公開当時、このエンドロールがツボにハマり忘れられなくなりました。一度聴いただけなのに、痛烈に印象に残っていて。
そんな中、お店でクラブミュージックを視聴しまくっていた時に、Talvin Singhを知りCDを買いました。The Cellのエンドロールのあのエスニックな雰囲気、そしてドラムンベースにハマり、20年を経た現在でも大好きなミュージシャンの1人となりました。
そしてこの記事を書くためにThe Cellのサウンドトラックをよくよく調べてみたら、エンドロールの楽曲はTalvin Singh作だったようで…。(ジャジューカというアーティストの曲をリミックスしたようです)
The Cell公開当時と、Talvin Singhのアルバムhaが出た頃が似た時期だったため、それらが私の中で両方刺さり、思い出深い出会いとなりました。
Amazon Music – ジャジューカのThe Master Musicians of Jajouka – Amazon.co.jp | |
衣装:石岡瑛子による狂気と美の表現
ターセム・シン監督の作品といえば石岡瑛子の衣装!といっても過言では無いほど、いつもの組み合わせです。
ドラキュラ(1992)ではカデミー賞衣装デザイン賞を受賞。ゴシックで狂気と気品に溢れるデザインは無二の存在感ですよね。
本も何冊もでています。
価格高騰してしまっているものもありますが、読んでみたいものです。
石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか | 小学館 |本 | 通販 | Amazon | |
TIMELESS 石岡瑛子とその時代 | |
私 デザイン | |
石岡瑛子 ggg Books 68(スリージーブックス 世界のグラフィックデザインシリーズ68) | |
石岡瑛子風姿花伝―Eiko by Eiko
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イラスト
特に好きな2人の衣装を描きました。
キャサリンは、猛々しい表情でぶん殴る姿のかっこいい最終決戦のスモーキーな装い。
スターガーは、キャサリンを脅やかした時の2種類を混ぜています。
The Cell トレーラー
Movie CLIP
ターセム・シン監督のその他の作品
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まとめ
ダークな世界観が好きな方、見たこともないような衣装が好きな方、ぜひTHE CELLを見てみてください。amazon primeならTHE CELLはもちろん、映画やドラマが月額500円で見放題です。関連するターセム監督作品もあります。